美術科<2年制>

洋画コース / Oil Painting

在学生インタビュー

リアリティの無い世界を描く

渋谷 隆之

洋画コース

卒業制作は、どんなテーマ?
暗澹とした現実社会の彼方に明るい未来がある。それがテーマです。手前は現代、人が誰もいないゴーストタウンです。道を進むとずっと向こうに明るい未来都市があります。ゴールは希望に満ちているそんな道です。遠近法を使って描いたのですが、縦2m、横5.5mと大きな作品ですから構図に手間取りました。特にスピード感を出したかったので、手前の建物が奥に吸い込まれていくように描きました。時間、空間の境目の無い世界を表現しています。
洋画をやるきっかけは?
皆と同じでやはり小さな頃から絵を描くのは好きでした。『そんなに絵が好きだったら、芸大で本格的に学んだら。絵に対する考え方がもっと広がるから』と母に勧められてこの大学に入学しました。入学後は表現の基礎技法から学びましたが、正直難しいでした。
自由に描きたいと思う自分の考え方が、否定されるようでイヤだと思ったこともありました。けれど基礎を学んでいくうちに、次第に空間や立体のメカニズムを理解できるようになって、自分なりに光や影をうまく描けるようなってきました。描く行為に一つの道が見いだせたのです。基礎を身につけることで新たな表現に挑戦することもできました。
壁画制作
一昨年、昨年と2年続けて夏休みを壁画制作に費やしました。一昨年は高さ3m長さ46mで『ノアの箱舟』、昨年は高さ3.5m長さ41mで『吉祥寺の大とんど祭り』をテーマに描きました。約3ヶ月かけて、洋画コースの仲間たちと炎天下汗を流しながら制作しました。壁画は道路沿いにあります。近くの住民の人たちに、楽しんでもらえたら嬉しいです。とても大きな作品だけにやり遂げた達成感はありました。
将来の夢は?
もう少し描きたいので研究生で大学に残ります。卒業後の夢は、小さな子、5歳くらいまでかなぁ、そんな子供相手に絵を教える教室を持ちたいと思っています。小さな子って発想が豊かで新鮮、感性で描くから楽しそうじゃないですか。絵を描くのが好きな子供がいっぱい増えたら嬉しい。
去年まで、静物や人物などをモチーフに“具象”を描いていましたが、最近は“抽象”です。自分の伝えたいメッセージを二次元に置き換え構想を練っています。人が生きる意味、自分を取り巻く社会との関係など、考えを整理しながらリアリティの無い世界を描いています。(奈良県出身)

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