大学情報

自己点検・評価報告書

 

平成26年度機関別評価結果

奈良芸術短期大学は、本協会が定める短期大学評価基準を満たしていることから、平成27年3月12日付で適格と認める。

 

機関別評価結果の事由

1.総評
 平成25年7月3日付で当該短期大学からの申請を受け、本協会は第三者評価を行ったところであるが、評価の結果、当該短期大学は、自らの掲げる教育理念の実現及び教育目標の達成に向けて順調に進捗しており、本協会が定める短期大学評価基準を満たしてると判断した。
 上記の判断に至った事由は、おおよそ次のとおりである。
当該短期大学は、昭和41年橿原学院短期大学として開学し、昭和49年に奈良芸術短期大学と校名を変更した後、現在は美術科に6コースと1専攻科を有しており、芸術をとおして地域に密着した実践的な教育が行われている。
 建学の精神は、「日本人の心のふるさと飛鳥で『教育は環境なり』の信念のもと、芸術性豊かな人材を培い、造形的精神や技術を習得することによって、品位ある社会人、専門家としての人材を育成する」としており、飛鳥という歴史文化と地域的特性を生かし、芸術性と造形的精神に基づく専門家としての人材育成を明確に表している。
 建学の精神から教育理念を導き出し、学習成果と対応した教育目的・目標を定めたものを「奈良芸術短期大学教育マップ」として分かりやすく図表化し、学内外へ公表している。
学習成果は、「美術の専門的・実践的能力を備えている」と「ヤル気・ホン気・コン気の態度を身につけている」と定義し、その成果は卒業制作に結実するとの認識から、学生の卒業作品計画に基づく作品完成度と、作品サイズやボリュームから評価し、また、「カリキュラムマップ」の中で「ヤル気・ホン気・コン気の態度」をグラフ化しており、学習成果を量的・質的データとして客観的な成績評価を試みている。加えて教員の評価、作品発表、学生アンケート等を加味して評価しており、公平な査定をするよう努力している。
 自己点検・評価は、学則に基づいた「自己点検・評価規程」を定め、この規程により自己点検・評価委員会を設置しており、教職員の組織体制は整備されている。全教員が教育活動全般の点検を行っており、改善策が必要な事項については、学長指名のワーキング・グループで検討している。自己点検・評価報告書は隔年に作成し公表している。
 教育活動では学位授与の方針、教育課程編成・実施の方針、入学者受け入れの方針を明確にし、ウェブサイト等で学内外に公表している。学生の卒業後評価は、就職先に対するアンケートによる情報収集を行い、その結果を就職指導等に活用している。
 学習成果の獲得に向けて、特に欠席や課題を持つ学生については、教務課、学生課やコース主任が早期に学生と面談をするなど、教職員が緊密に連携して取り組んでいる。
 進路支援は教育課程の中で、一般ビジネスマナーや就職活動方法、履歴書やエントリーシートの作成、面接指導等を行い、就職試験対策を実施している。
 教員組織は短期大学設置基準を充足しており、主たる教科目には専任教員を配置し、その他は専門科目の指導内容に合致した作家を非常勤講師として多く任用している。教員は美術に関する各種団体等に加盟して、多くの社会活動や作品制作に精力的に取り組んでおり、展覧会や個展への出品として公開され、研究紀要により成果を発表する機会が確保されている。
 FD活動は、PDCAシートの作成にかかわる自己点検・評価や授業公開はあるものの、計画的で組織的な活動までには至っていないため、今後の課題でもある。
 当該短期大学の校地、校舎面積は短期大学設置基準を満たしており、その他の物的資源は整備、活用されており、学内LANの設備、CG室やコンピュータ室等、学習成果を獲得させる技術的資源も整備している。
 財的資源については、過去3年間の資金収支及び消費収支は均衡しているが、短期大学部門では帰属収支が支出超過である。
 理事長及び学長は、建学の精神を踏まえ、寄附行為や学則にのっとって学校法人及び短期大学の運営全般に適切なリーダーシップを発揮している。
 教授会は学則並びに「奈良芸術短期大学教授会規程」に従って適切に運営されている。
 監事は寄附行為に基づく業務を適切に行っており、資産及び資金は、規程に基づいて管理運用しており、ガバナンスは健全に機能している。
 前回(平成18年度)の第三者評価で、「向上・充実のための課題」として指摘された事項について、今回の評価時までに多くが改善されているほか、学則の見直しなど、指摘された事項以外の改善事項について、優れた試みと評価できる内容もあり、教育の向上・充実に向けた取り組みや努力が認められる。
2.三つの意見

 本協会の評価のねらいは、短期大学教育の継続的な質保証を図り、短期大学の主体的な改革・改善を支援することにある。そのため、本協会では、短期大学評価基準に従って判定される前述の「機関別評価結果」や後述の「基準別評価結果」に加えて、当該短期大学の個性を尊重し、その向上・充実を図る観点から以下の見解を持つ。

  1. (1)特に優れた試みと評価できる事項

     本協会の評価のねらいは、短期大学教育の継続的な質保証を図り、短期大学の主体的な改革・改善を支援することにある。そのため、本協会では、短期大学評価基準に従って判定される前述の「機関別評価結果」や後述の「基準別評価結果」に加えて、当該短期大学の個性を尊重し、その向上・充実を図る観点から以下の見解を持つ。

    基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果

    [テーマB 教育の効果]

    基準Ⅱ 教育課程と学生支援

    [テーマA 教育課程]

    [テーマB 学生支援]

  2. (2)向上・充実のための課題

     本協会は以下に示す事項について、当該短期大学が改善を図り、その教育研究活動などの更なる向上・充実に努めることを期待する。なお、本欄の記載事項は、各基準の評価結果(合・否)と連動するものではない。

    基準Ⅱ 教育課程と学生支援

    [テーマA 教育課程]

    基準Ⅲ 教育資源と財的資源

    [テーマA 人的資源]

    [テーマB 物的資源]

  3. (3)早急に改善を要すると判断される事項

    以下に示す事項は、問題・課題などが深刻であり、速やかな対応が望まれる。

3.基準別評価結果

以下に、各基準の評価結果(合・否)及び当該基準を合又は否と判定するに至った事由を示す。

基準 評価結果
基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果
基準Ⅱ 教育課程と学生支援
基準Ⅲ 教育資源と財的資源
基準Ⅳ リーダーシップとガバナンス

各基準の評価

基準Ⅰ 建学の精神と教育の効果

 建学の精神は、「日本人の心のふるさと飛鳥で『教育は環境なり』の信念のもと、芸術性豊かな人材を培い、造形的精神や技術を習得することによって、品位ある社会人、専門家としての人材を育成する」と明文化している。この建学の精神は、学生必携や大学案内に記載するほか、ウェブサイトで公表している。建学の精神は、その短文章化を含めて、全教職員による授業改善のPDCAシート提出に併せて、建学の精神等に関するアンケート提出も義務付けており、定期的な点検・検討がなされている。
 建学の精神から教育理念が導かれ、これを受けて学習成果と対応した教育目的を定めて「奈良芸術短期大学教育マップ」として図表化し、学内で共有するとともに、学外へも公開している。教育目的を達成するための必要な能力及び態度を学習成果と定義し、教育目的を達成するために、四つの重点目標を定めて全教育活動の中核としている。この教育目的・目標は、数年間の議論を経て導かれたものであり、定期的な点検への取り組みがみられる。
 建学の精神から導かれた学習成果は、「美術の専門的・実践的能力を備えている」、「ヤル気・ホン気・コン気の態度を身につけている」と定義し、これを「奈良芸術短期大学教育マップ」の中で明確に示している。学習成果は卒業制作に結実するとの認識から、学生の卒業作品計画に基づく作品完成度と、作品サイズやボリュームから評価し、また、ヤル気・ホン気・コン気の態度は、「カリキュラムマップ」でグラフ化しており、量的・質的データとして測定する仕組みがある。学習成果は、作品集の発行、大学案内への記載やウェブサイトで公表している。
 教育に関係する法令変更などは理事長まで供覧しており、必要に応じて教職員には教務だよりや、教授会での周知・徹底を図り、全学的に法令順守に努めている。学習成果は、従前の教育活動の中に潜んでいた内容を意識化したものであり、学生の授業評価アンケート、学習成果を含めたアンケート、教員の授業改善のためのPDCAシートを用いて教育の向上・充実を図っているが、全学的な場での点検には成り得ていないところもある。今後は外部評価懇談会の意見も参考にして、教育活動全般の査定を検討しながら、教育の質保証を目指した取り組みを予定している。
 自己点検・評価は、学則に基づいた「自己点検・評価規程」を定め、この規程により自己点検・評価委員会を設置しており、教職員の組織体制は整備されている。コース内の授業調整会議や教員のPDCAシートの作成をとおして、非常勤講師を含めた全教員が教育活動全般の点検を行っている。改善策が必要な事項については、学長指名のワーキング・グループで検討している。自己点検・評価報告書は隔年に作成し公表しており、この点検作業によって前回(平成18年度)の第三者評価以降に多くの改善も行っている。

基準Ⅱ 教育課程と学生支援

学位授与の方針として、卒業の要件、成績評価の基準が学則に明記され、オリエンテーション等で周知されており、対外的にも大学案内やウェブサイトで公開している。学位授与の方針に沿った学習成果を地域に還元するなど、社会的にも通用性のある方針である。
 教育課程編成・実施の方針については、学位授与の方針に対応しており、学習成果に則した体系的な教育課程が編成されている。また、飛鳥文化を根幹においた科目を開設するなど、地域性を生かした特色ある教育内容となっている。成績評価は、教育課程の達成目標をコースごとに2年間の「カリキュラムマップ」として設定し、達成度、獲得度を具体的に測定することで客観的な評価を試みている。その測定結果を、教員の評価、作品発表、学生アンケート等を加味して評価しており、公平な査定をするよう努力している。シラバスについては記載内容や授業時間数等、改善が必要である。
 入学者受け入れの方針は「求める学生像」と「入学者選抜の基本方針」として詳細に示され、大学案内やウェブサイト等で受験生に示されている。入学試験は基本方針に従い、多様な選抜方法を採用し、公正に実施されている。
 学生の卒業後評価への取り組みでは、卒業生の就職先に対してアンケートを実施して情報収集を行い、その結果を就職指導等に活用している。企業からの要望にもこたえて、コミュニケーションやキャリアプランニングに関する授業の充実を図り、実技面でも合評会等でプレゼンテーション能力を高める指導を行っている。
 教員は、授業評価アンケートを参考にPDCAサイクルに基づく自己評価をし、FD活動をとおして授業改善を図っている。また、事務職員も、教員と連携しながら学習成果の獲得のために努力している。
年度当初には、各コース等の教員と教務課、学生課、図書館の担当者がそれぞれの分野のガイダンスを実施し、学生必携やシラバス等を配付している。基礎学力不足の学生や学習上の悩み、休学や退学の相談等は、各コースの教員と教務課と学生課が連携して組織的に学習支援を行っている。
 クラブ活動や学園行事は「学生自治会」が主体となって行っている。学生生活に関してのアンケート調査も実施しており、学生からの要望を把握し、改善していく姿勢がある。
社会人学生に対する個別の支援や障がい者の受け入れに関しても施設の設置、相談の体制が整っている。
 進路支援は、学生課のキャリアサポート室が各コースの研究室と連携し、就職活動の指導や求人紹介を行い、進学については、学生課と各コースの教員が連携して指導している。

基準Ⅲ 教育資源と財的資源

 教員組織は短期大学設置基準を満たし、教員の配置は、教育課程編成・実施の方針に従って編成された授業内容の中で、主たる教科目には専任教員を配置し、その他は芸術の専門性を深めるため、専門科目の指導内容に合致した作家を非常勤教員として任用している。
 教員は美術に関する各種団体や組織に加盟して、多くの社会活動や作品制作に精力的に取り組んでいる。研究成果は、多くの展覧会や個展への出品として公開され、「研究紀要発行規程」により成果を発表する機会が確保されている。
 FD活動は、PDCAシート作成にかかわる自己点検・評価、授業公開はあるものの、計画的で組織的な活動までには至っていないため、今後の課題である。事務職員は、学習成果を向上させるため学生の成績管理をしながら、教員と連携して学生を指導している。
 校地、校舎面積は短期大学設置基準を満たしており、講義室、演習室、実験・実習室は十分な室数を有している。運動場、体育館についても適切な面積を確保しており、その他の物的資源も整備、活用されている。固定資産管理や財務等に関する諸規程を整備し、施設設備、物品等を適切に維持管理している。
 教育課程編成・実施の方針に従い、専門的な施設や技術サービス、ソフトウェアの向上充実に努めており、学生の学習支援並びに情報処理能力の向上を図るために、学内LANの設備、CG室やコンピュータ室等を整備している。図書館には、資料検索や図書検索に使用するインターネットに接続されたコンピュータを設置している。ただし、学生が要望する各情報教室、CG室等の活用方法や図書館の使用時間の延長など、学習環境向上の検討が望まれる。
 財的資源については、過去3年間の資金収支及び消費収支は均衡しており、収支状況は上昇傾向にある。しかし、短期大学部門では帰属収支が支出超過であり、他部門でカバーしている現状がある。この認識に立って、当該短期大学では入学者増の施策に取り組むなど、帰属収支の改善に努めている。また、日本私立学校振興・共済事業団の手法を利用して、経営状態、財務状況を把握して、財務改善に繋げていく方針が立てられている。

基準Ⅳ リーダーシップとガバナンス

 理事長は建学の精神を踏まえ、寄附行為にのっとって学校法人の運営全般にリーダーシップを適切に発揮している。理事会は第三者評価の重要性を認識しており、教育の向上・充実のために大学の改革改善を支援している。理事は、寄附行為に基づいて選任され、法人の運営について適切に職務を執行しており、法人の管理運営体制は確立している。法人の業務内容は学内外に情報公開している。
 学長は「奈良芸術短期大学学長候補者選考規程」により選出され、建学の精神を具現化する教育活動の実践を説き、教育環境の整備に尽力している。各課、各コースのPDCAシートは学長が点検・指導しており、教職員へのリーダーシップは適切に発揮されている。教授会は学則並びに「奈良芸術短期大学教授会規程」に従って運営されている。学内の委員会活動は規程に基づいて運営されており、通常は学長、副学長、各課・室長、各コースの代表者からなるコース主任会が委員会としての機能を果たしている。
 監事は寄附行為に基づいて選任され、理事会、評議員会に毎回出席し、法人の業務執行状況、財産の状況について報告を受けるとともに意見を述べている。また、業務執行状況、財務状況について監査を行うとともに、毎会計年度に監査報告書を作成し、当該会計年度   終了後2か月以内に理事会及び評議員会に提出しており、監事は寄附行為に基づく業務を適切に行っている。さらに監事は、公認会計士と連携して財務状況を監査している。
 評議員は寄附行為に基づいて選任され、評議員会は理事定数の2倍を超える人数で構成されている。評議員会は寄附行為に基づき開催され、理事長の諮問機関として適切に運営されている。
 毎年度の事業計画及び予算は、各部門長からなる予算会議において策定し、理事会で決定後は、速やかに各部門・コース主任会等を通じて示達される。計算書類、財産目録等は学校法人会計基準及び「学校法人聖心学園経理規程」に基づき作成し、公認会計士の指導の下、経営状況、財政状態を適正に表示している。資産及び資金は、「学校法人聖心学園資産管理規程」及び「学校法人聖心学園資金運用規程」に基づいて管理運用しており、ガバナンスは健全に機能している。従来、財務情報は広報誌で公表していたが、平成25年度からウェブサイト上でも公開している。
 教育情報は、ウェブサイト等をとおして、適切に公開されている。

選択的評価結果
 本協会は、短期大学の個性を伸長させることを目的として、「教養教育の取り組み」、「職業教育の取り組み」、「地域貢献の取り組み」という三つの選択的評価基準を設けている。これらの三つの取り組みは4基準にも含まれているが、各短期大学の取り組みの特色がより鮮明になるよう、4基準とは別に設定した。
 選択的評価は個々の短期大学の希望に応じて実施し、課外活動も含め、それぞれの独自性が一層発揮されるよう当該短期大学の取り組みの達成状況等について評価を行った。
地域貢献の取り組みについて

総評

 制作を主とした公開講座は毎年夏に、歴史公開講座は秋の大学祭の一環として行っている。市内の小学生を対象に「夏休み一日こども大学」を開催し、美術の初歩的体験を実施している。公開授業では、教養科目の「明日香学」を地域に公開し、社会人の生涯学習のニーズにも対応している。これらの講座は、奈良県橿原市又は近隣の市町村からの受講者が多く、幅広い年齢層からの参加者があり、特に「歴史公開講座」は、「飛鳥」という地理的好条件のためか毎年多数の参加者がある。
 橿原市とは以前から活発な交流活動を行ってきており、平成25年度に橿原市と包括的な「連携協定」を結んでいる。橿原市の古道散策ガイドブック『歴史の道を行く』の挿絵を制作し、近鉄大和八木駅前の観光フラッグをデザインした。「元気のぼりプロジェクト」(県立万葉文化館)では、子ども達とのぼりを制作しているほか、奈良県立橿原考古学研究所と協力して、桜井市のメスリ山古墳出土の巨大円筒埴輪を復元制作したり、ホスピタルアートとして大和高田市立病院内に壁画を描いて人々の心を和ませており、教育資産を活用した社会活動は活発といえる。奈良県警察本部には、防犯4コマ漫画を制作して提供したり、奈良県が実施する「奈良・町屋の芸術祭HANARART」では、作品展示や似顔絵を描いている。
 商工会議所や各種団体とも交流活動を活発に行っている。大和高田市商工会議所からの街づくり協力事業の要請により、片塩町商店街における連携事業として「奈良芸術短大アートサロン」を商店街に設置し、学生の作品を定期的に入れ替えながら展示している。宇陀市の八坂神社では壁面等を修復、彩色し、橿原市のおふさ観音では毎年作品を展示し、訪れる人々の目を楽しませている。橿原神宮の「春の神武祭」では、池、森、学舎を使ったプロジェクションやライトアップ等を行っている。奈良県高市郡高取町に伝わる昔話の絵本、奈良県立万葉文化館から依頼を受けた「大紙芝居」、奈良県警察本部の「万引き防止ポスター」、奈良県生駒郡高山町で行われるイベント「竹あかり」のポスター、パンフレットの制作等にも取り組んでいる。
 以上のように、地域社会から多くの制作要請に積極的に対応している。

当該短期大学の特色が表れている取り組み

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