美術科<2年制>

デザインコース/ Design

谷口嘉彦

五感を使って体験することからデザインの感性が生まれる

谷口 嘉彦教授

デザインコース

まず、先生の経歴について教えて下さい。
私は1973年に多摩美術大学の美術学部彫刻科を卒業しました。73年4月に渡仏、パリ国立高等美術学校に留学しました。フランスでは数多くの展覧会を中心に活動。「サロン ド ラ ジュヌスクルチュール」アダム賞を受賞しました。78年に日本に帰国。82年から本学で教えています。91年には関西国際空港ターミナルビルの施設の制作にも携わりました。「なら・グッドデザイン」審査員を務めるなど、デザイン・造形にずっと携わってきました。
先生はデザインを教えるにあたって、どういうことを主眼において教えられておられるのですか。
「デザイン」の本質は人を心地良くするもの、生活を豊かにしてくれるものです。この本質を見極めて、メッセージを伝えることの出来る人材を育成することを主眼にしています。マルチメディア時代を迎えて、媒体も印刷物だけでなくWebデザインなど、分野も多様化しています。デザインの役割を意識してコンセプトをしっかり打ち立てるプロセスが重要です。そしてこのプロセスをつくるには、まず感性を磨くことです。
それでは、感性を磨くにはどういうことをすればいいのですか。
まず人間の体で感じる五感を使ってモノを見て感動することです。たくさんの本や映画、絵画、音楽、自然など様々なモノを見たり聞いたり、触れたりすることで感覚が養われます。もちろん各人の思考や育った環境などで感じ方は違います。しかしそれが個性です。個性を掘り下げ、五感で体験した知識や知恵を感性として高めることで、表現の総合力を養います。表現の引き出しをたくさん持つことです。
最近は表現方法としてコンピューターによるデジタル画像がよく使われていますが?
デザインワークではコンピューターは欠かせないものです。デジタル画像に造形的感覚を融合させる新しい芸術です。しかし、コンピューターに頼りすぎてはいけません。手で描けることが基本です。手描きの方がコンピューター処理した画像より、力強く、また訴えるものがあります。最近テレビのコマーシャルでもCGが多くなっています。しかし見ていると、CGの不自然な動きに何か違和感を覚えませんか。コンピューターに頼りすぎると人間の感覚が退化します。デザインするにはやはり人間の五感を意識する必要があります。
デザインの面白さって何ですか。
デザインしたモノが社会に出た時や第三者の手に渡った時が一番の喜びです。自分の創ったイラストやキャラクターをつけた商品が店頭に並び、そのキャラクターを付けたことによって、その商品が売れたときはさらに大きな喜びとなります。  
そういう意味ではデザイナーとは人に見せることに快感を覚える人が最適ですね。
ところで先生の宝物を教えて下さい。
宝物は「山の自然」です。私は渓流釣りがとても好きで最近では東吉野や三重県の奥地によく渓流釣りにいきます。山の景色と澄みきった川のせせらぎは心を落ち着かせます。そこで釣った魚の美しい姿は私のかけがえのない宝物です。
最後に奈良芸術短期大学の学生に一言お願いします。
本当にデザイナーを目指すなら、もっと勉強すること。創作の喜びを意識するためには自分のすべてを注ぎ込んでモノを創らなければ、面 白さが生まれない。もっとハングリーになってあらゆるモノからメッセージを受け取り、感性を高め、それをテクニックにして創作にフィードバックすることです。

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