美術科<2年制>

洋画コース / Oil Painting

卒業生インタビュー

東京銀座「スルガ台画廊」で初めての個展

赤井 正人

洋画コース

銀座で個展をされたと聞きましたが?
今年1月に東京銀座「スルガ台画廊」で初めての個展をしました。これは画廊が新人作家を育成するために、毎年新人を選抜し個展を開催するもので、第39回「レスポワール展」です。今年は僕を含めて18名が選出されました。作家の登竜門として名高いレスポアール展から輩出された有名な作家はいっぱいおられます。あの村上隆氏もそうです。はじめは自分が選抜されたという嬉しさと不安でいっぱいでしたが、周りの先生方に応援をいただいて自分なりに頑張りました。
展示された作品は?
作品は20点。学生時代からずっと描いている自画像『内なる者の眼』です。とことん自分を見つめ、内面 を描きました。周りの環境の中の自分の存在を意識し、絵筆を持たないもう一人の自分を外側において自分を見つめるのです。迷ったり、とまどいがあったり、揺れ動く自分を描いています。 実は自画像を1枚描きあげるごとに僕は落ち込んでしまいます。すごく欠点が目についてしまって、満足出来ない。でもそれが、次の作品に取り組む原動力になります。ほんと落胆と挑戦の繰り返しですね。 さすが新春恒例の銀座の個展です。たくさんの方に見に来ていただき、また批評をいただきました。とても勉強になりました。個展を終えた今は満足感でいっぱいです。これを自分のスタートラインにしたいと思っています。
絵を描くきっかけは?
子供の頃から絵を描くのは好きでした。大学で美術を学ぼうと思ったきっかけは、高校生の時、孤高の画家として名高い洋画家『遠藤剛熙』の個展を見に行った時です。世俗的でない画家の生涯に「こういう生き方もいいなぁ」と感銘して、自分も画家になりたいと。
大学での印象的なことは?
考古学の前園先生に連れられて、法隆寺の金堂壁画や百済観音像を鑑賞に行った際の出来事が鮮明です。暗がりのお堂の中で懐中電灯に照らし出された壁画や、百済観音像の繊細で優雅な姿に身震いするくらい感動したのを覚えています。「これだ」と思いました。油彩 と違う乾いた質感をもつ壁画と仏像の美しさにひかれました。その感動は後に『練り込みテンペラ』にのめりこんでいくきっかけになりました。 今後の活動は? 描き続けます。実家が世界遺産になっている吉野・大峰山麓で民宿をしています。だから家業を継ぎながら、吉野の山奥で、自分自身を見つめながら作品を発信し続けます。(奈良県出身)

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