美術科<2年制>

日本画コース / Japanese Painting

教員インタビュー

自然から得た美しい顔料、伝統の技法で奥深さを表現する面白さ

中尾 壽男 講師

日本画コース
日本画制作

日本画をされるきっかけは何だったのですか?
友人が京都市立芸術大学にいたので、見に行ったら面白そうでした。それで自分も行きたくなったのです。(笑) 別 に子供の時から絵が特に得意ということもなかったし、芸術大学に入るための特別 な勉強もしてなかったから、それから受験勉強を始めました。日本画を選んだのは、当時高校の美術の先生が日本画の川端龍子画伯の弟子で、青龍社の展覧会に行ったところその素晴らしさに圧倒されたこと。日本画を学ぶには大学で教えてもらうか、画家に弟子入りするしか方法が無かったので大学の方を選びました。自分には洋画より日本画の方が可能性のあるような気がしたのです。大学では、上村松篁、秋野不矩画伯に教えていただきました。
卒業後はどうされましたか?
大学卒業後は中学校の美術の先生になりました。けれどもクラブ顧問を持たされて勤務時間が長かったのが予想外でした。プライベートな時間、即ち、絵を描く時間が持てないのです。それで今度は高校の美術の先生だったら、少しは自分の時間が持てるだろうと高校の教員採用試験に挑戦しました。翌年高校の美術の先生になったら、時間の余裕ができ、絵を描くこともできました。結局17年間それを続けました。 39歳の時、文化庁の芸術家在外研修員に選ばれ、インドのベンガル地方にあるビスババラティ大学に派遣されました。1年間国の費用で勉強できる、とても有難い制度でした。この文化庁の制度での過去の主な派遣者は、洋画家の絹谷幸二氏、声楽家の佐藤しのぶさん、バレエの森下洋子さん、演出家の野田秀樹氏などがいます。とにかく給料をもらいながら、好きな絵を描けるという夢のような留学でした。 帰国後、本学に来て教鞭をとっています。
先生の話を聞いていたら、順風満帆で挫折など無かったように思えますが?
いいえ、挫折はありましたよ。20歳から20歳後半にかけて、いろいろな公募展に出展しても入賞が出来なかったことです。自分より下手と思っていた者が入賞している。くやしかったですね。   
27歳の時やっと、新制作春季展賞を受賞しました。34歳で第5回春季創画展春季展賞、第6回創画展創画会賞、39歳で第11回、40歳で第12回の創画展創画会賞を受賞しました。それで41歳の時、創画会会員になりました。
日本画の魅力とは?
日本画は、岩絵具の落ち着いた色の美しさに尽きるでしょう。膠、胡粉、岩絵具、ドウサ、麻紙など伝統的な材料や筆の使い方など古典技法を学び、空間の深みや奥行きを表現します。色と色の重なりや混ざり具合は大変難しいですが、うまく表現できると面 白い、そこが日本画の魅力です。
ところで、先生は絵を描く以外の趣味は?
大工仕事が好きです。家の回りや家の内部の造作が好きで、本箱や棚を造ったりするのが大好きです。子供の時からモノづくり、図工でも工作が好きでしたね。休みになったら何か、トントンと造っていますよ。ほんとうに楽しい。
最後に本学の学生に一言お願いします。
僕は本学の学生たちは、一生懸命勉強してくれていると思います。2年間ここで学んで世間に出して恥ずかしくない作品を書いてくれていると思っていますよ。ですから、ここで学んだことを将来生かして欲しいこと。そして絵をずっと続けて描いて欲しいと思っています。

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