美術科<2年制>

陶芸コース / Ceramic Art

卒業生インタビュー

陶芸の先にガラスの表現があった

三宅 真弓

陶芸コース

何故、陶芸からガラスへ?
卒業後は北九州市にある九州民芸村の陶工房に勤務しました。そこにはガラス工房もあり、吹きガラスにはあまり関心はないものの、何故かビードロの中にいる時は幸せな気分でした。たまたま休日に近くの下関美術館で『世界ガラス展』が開催されていて見に行ったのです。今までに無いガラスとの遭遇でした。「土という素材で表現している私の作品が、ガラスだったら。。これをやってみよう!」その時、ガラスへの転向を決意しました。
既に社会に出て7年経っていました。基礎から学ぶため、富山市立ガラス造形研究所を受験することに決めました。入試の倍率が高く難しかったのですが、絶対合格すると不思議に自信がありました。「奈良芸の陶芸で河野先生の元、指導を受け鍛えられていましたからね(笑)」富山市立ガラス造形研究所は、ガラス工芸作家を育成する日本有数の研究所で、主に全国の美術大学でガラス工芸を学んだ者が受験します。競争率は当時8倍でした。
華やかで神秘的な美しさを持つガラス工芸
陶芸をしていた頃、たまり釉薬が好きでした。釉薬の透明感、華やかな美しさをガラスの中に見いだしたのかもわかりません。ガラスをやってみて、基本のカタチづくりやインスピレーションは陶芸と同じでした。大きな相違点は、陶芸では素材の土を手で触れてカタチをつくりますが、ガラスでは素材に直接手で触れることができないことです。それに私は、キルンキャスティング工法で作品づくりをしていますから、工程も多く完成までの時間が長いことが難しいところです。
 ガラスは無機質で冷たい感じのする素材ですが、カタチや色、磨きで暖かみのあるものに変化します。光を受けて透過させ、反射や屈折で複雑な色合い、やさしい肌合いなどが表現できます。幻想的な美しさを現出できる技術とアートの融合がガラス工芸です。  2001年には富山市展の工芸部門で優秀賞、2002年には第一回現代ガラス大賞展で特別賞を受賞しました。また各地のコンクールや展覧会に出品、個展を開催するなど制作活動を続けています。
現在、アメリカに留学中
「ガラスの美しさをもっと追求したい」現在はアメリカに留学中です。ボストンで英語を学びながら、フィラデルフィアにあるCreative Glass Center of Americaでスカラシップ制度を利用しガラスを学んでいます。ガラス工芸の歴史が浅い日本に限界を感じたからです。未知の世界に飛び込むことはこわくありませんでした。自分らしく着実に、納得するまでガラス工芸を究めたいと思っています。
陶芸家の河井寛次郎は『思いあれば、技術は後からついてくる』と言っています。モノづくりには熱意が一番。技術は何度も繰り返すうちに自然と身についてきます。要は、やる気の問題です。いま大学で学んでいる後輩たちも、学ぼうとする熱意を大切にして欲しいです。
私は陶芸を学び社会に出て働き、ガラスに出会い転向しました。いろいろな人やモノとの出会いがあって、ここまでやってこられたと思います。

「奈良芸は短大でしたからとにかく濃縮した授業でしたね。4年制大学だったら私自身もだらだら勉強して、今の自分が無かったのかもわかりません。モノづくりに没頭できる熱意や勇気を身につけられたことに感謝しています」

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